私たち(NPO多言語広場CELULAS)のストーリーCDにフランス語が加わったのは、今年1月からです。
5人家族がそれぞれ違う国にホームステイに行った体験を語るというストーリー。
ストーリーは25話。それぞれの国の家庭生活や親子の会話、自然や文化がホームステイの体験として語られる。
大好きなストーリーです。
このストーリーの中から1話を選んで、ピアザの仲間で、ロールプレイしたりシャドウイングしたりしながら、色々な言葉を楽しんでいきます。
フランス語はどう感じたかというと、ロシア語や中国語が始まった時より、ずっとわかりやすく、聞き取りやすく感じました。
多言語をやっていると、言語が後から増えるほど、習得のスピードが上がると言われていますが、本当にそうなのだと思います。
スペイン語や英語とも近い部分があり、それもわかりやすく感じるのです。
ストーリーは5人家族が国際交流報告会に出かけるまでのバタバタと会場のステージに上がっての自己紹介まで。
ストーリーを日本語で場面の情景をみんなで想像して話し合いながら役に分かれてロールプレイしているので、フランス語が聞こえてくると、誰がどの場面で言っているのかイメージがわきます。
不思議なもので、フランス語を知らないはずなのに聞いた途端に情景が浮かぶ。
それって意味が分かるということと同じなんです。
それでもすぐにCDのネイティブの音声そのままに自分が発語することはできません。
だからシャドイウング。
CDの音声が聞こえた途端に口から出す。
影のようにぴったりくっついて、フランス語をシャドウイングしていきます。
ネイティブの音声って、しかも場面がよくわかる音声って、シャドウイングしていると、ぴったり同じに言えるようになってきて、同時に最初は聞き取れなかったセリフが、どんどんゆっくりはっきり聞こえるように変わっていきます。
もちろんCDの音声は変わりませんし、速度を変えたりもしません。
人間の耳って、すごいなと思います。
イントネーションや口調、声のトーンやその時の表情、そして起きた出来事への感情まで。
全部ネイティブ音声と一緒に自分の中に息づいてくるのです。
シャドウイングをしていると、自然なネイティブの話し方、その場面にぴったりの言葉の選び方が、自然にできるようになります。
最初はわからない外国語だったことばが、どんどん慣れ親しんだ人の話し言葉になっていく。
その声を聴いただけで、どんな場面なのか想像できる。
言葉は慣れているかいないかで、話せるかどうか決まります。
決して外国語を話すのは特殊な能力ではありません。
慣れ親しんだことばにしていくために、ロールプレイやシャドイウングはとっても効果的です。
イメージのない音声(や文字)はとても難しいし、覚えるのは苦痛の極みです。
けれど、そこに人間がいて、出来事があって、それを語り合っていることが生き生きと想像できるなら、その音声を覚えるのは、自然なことなのです。
だから多言語の習得活動では、知らない言葉に出会うとワクワクしてしまいます。
聞きなれない音の塊(雑音)が人の感情がこもった、言葉になっていく面白さ。
その変化の妙を楽しみながら、今日も車でフランス語を口ずさんでいます。