NPO多言語広場CELULAS

多言語で育つ子どもたちー体験会に来た子どもたちに起きていることー

3月初めに開催した、NPO多言語広場CELULAS(セルラス)の講演会。
そこに参加した方たちが、毎週の活動(ピアザ)を体験に来てくれました。
そして私が毎週活動している地域のピアザに新たな参加者が増えました。

家族で活動を始めた参加者の子どもたち。
参加した翌週から、ストーリーの中の韓国語やスペイン語の言葉を使ったり
家でロールプレイで遊んだりしているそうです。

子どもたちに起きることには、いつもびっくりしてしまいます。

どうしてこんなことが起きるんでしょう。

それは、仲間と一緒に楽しくストーリーを共有しているから。
どうやって共有するかというと、ロールプレイです。
それを色々な言語で聞き、一緒にシャドウイングしたり、いろんな言語でロールプレイをしたり。

特に時間をかけてしているのは、ストーリーを日本語でロールプレイして楽しむこと。

楽しい。
その気持ちが、子どもたちにそのお話の入ったCDを「聞きたい!」と思わせるようです。
そしてどの言語でも同じストーリーを表現していることがわかるのです!
だから子供たちは日常の中で

「急いで!」とか
「こっちに来て」とか
「そんなに怒らなくても」とか
「可哀そうに」とかいる言うとき

それを韓国語やスペイン語で言い出したりするんです。

親子で一緒に活動するセルラスなので
お母さんはお子さんが言っていることが
スペイン語の「早く!」だったり
韓国語の「そんなに怒らなくても」
だったりするのを一緒に体験しているのでわかります。

お母さんが、わかってくれて
自分の話したスペイン語や韓国語が伝わった時
子どもたちは本当にうれしそうに笑います。

子どもの力のすごさを、こんなお話を聞くたびに思うのですが
私たちが「外国語は難しい」「語学はほんの一握りの優秀な人だけができること」
という先入観を持っているから驚くだけで
本当は自然なことなのかもしれない。
そう思いなおしています。

講演会で講師を務めるセルラスの理事長の鈴木隆志さんは

「人間には本来生得の言語獲得装置が備わっていて
環境の中にある言語を、
近い人間関係の中である状況を共有して使いながら
その言葉の意味を理解し使えるようになる」
ことを、ノム・チョムスキーの言語学理論を踏まえて
わかりやすく話してくれます。

そして赤ちゃんが母語を習得するプロセスを長年研究し
その基本的な構造に沿って、すでに母語を獲得している私たちが
多言語を習得していく環境として
私たち多言語習得活動を創ってきたのです。

子どもたちの姿を見て、すごいなあと思うのは
きっと人生で初めて聞くはずの
ロシア語や中国語の意味が分かってしまうことです。

私たちが活動の中で共有するのは
セルラスオリジナルのストーリーという仮想現実です。
ある家族がそれぞれいろんな国にホームステイした実話をもとにしたストーリー。
このストーリーの魅力が、ロールプレイで日本語で共有された後
ロシア語を聞いたり中国語を聞いたりしても
子どもたちは「わかっていることば」として多言語を聞いています。

例えば、ロシア語のあるストーリーの題
『蚊に刺される』のロシア語の音を、ある小学5年生が
「このことばがセリフの中にもあるよね」
と言ったら、参加して2回目の小5の男の子が
「うん、ここの中にあるよね」
と日本語のセリフの同じ部分を指さして読みました。
本当にぴったりのセリフを言っていました。

ロシア語の音と日本語の意味が、わずか2週目で重なっているのです。

そして参加3週目の5歳の女の子は
お父さんに叱られた時
「お父さん、そんなに怒らなくても・・・」
という韓国語を言ってお父さんをびっくりさせてしまったそうです。

他にも1年半前から参加している5歳の女の子が
CDで中国語を流していたら
それに合わせて日本語のセリフをかぶせて言っていたそうです。
それがぴったり合っていたので、お母さんが驚いて
「あなた中国語がわかるの?」
と聞いたら、怪訝そうな顔をして
「だって、今やってるお話だよ」
と、何の不思議でもないと言わんばかりの答えだったそうです(^^)

この活動をしていて、本当に面白いと思う瞬間です。
そしてこれは何も特別なことではなくて
きっと多言語の環境(それは親しい人間関係を含みます)
があれば、人間の誰にも普通に起きることなのかもしれないと思うのです。

今はまだまだびっくりしながら、子どもたちを見ていますが
ストーリーを楽しく共有し、
多言語の音声を状況に合わせて聞いて口から出せば(シャドウイング)
誰にでも同じことが起きることを
もっともっと体験したいです。

これが普通のことになったら、外国語で苦労するなんて
誰も思わない不思議な昔話になってしまうかもしれません。

そんな未来を夢見て、子どもたちとお母さん、お父さんと
一緒に楽しく多言語習得活動をしていきたいと思っています。

ABOUT ME
shigechan1783@gmail.com
NPO多言語広場CELULASのコーディネーターをしています。 セルラスではたくさんの言語(ことば)に同時に触れながら、世界中の誰とでもコミュニケーションできる力を育てています。 ことばはスキルでもツールでもなく、人と向き合い思いを伝え分かり合うために、人類が手に入れた尊い宝物です。 大人から子どもまで、多様な人たちが一緒に、ことばと人を育てあう場は、心とことばが同時に育つ場です。