NPO多言語広場CELULAS

多言語でコミュニケーション力が伸びるわけ

今年は毎日何か気づいたことをブログで表現したいと思っています。

そうそう、私のブログ更新がよく止まってしまうのは、ちっぽけなプライドのせいでした!
私、文章書くのが好きなんです。
だから”上手”に書きたい気持ちが強くなりがちです。
書いているうちに、自分の文章の粗さや稚拙さに耐えられなくなると、筆が止まってしまうんです。
下手な文章を見せるのが嫌で、現実逃避していました。
今年は、そういうちっぽけなプライドを後生大事にして朝鮮史宇内自分を卒業します。
やってみてなんぼ。失敗したらそこからまたやり直せばいい。
そんな気持ちで書き続けていくつもりです。

さて、今日お伝えしたいのは、
私がロシア語のシャドウイングや
ワンマンロールプレイをして気が付いたことです。

シャドウイングというのは、聞こえた途端に同時に口から同じ言葉を出すという訓練法。
同時通訳の方は毎日しているそうです。

ワンマンロールプレイは、セルラスで創った言葉なので聞きなれない言葉だと思います。
登場人物が何人かいるストーリーのロールプレイを、一人で全員の役をロールプレイすることです。

去年の9月から『誕生日』というストーリーのロシア語を
CDを聞いてシャドイウングし、ロシア語でのワンマンロールプレイ(CDなしでの)に取り組んできました。

ストーリーは、14歳の誕生日をアメリカでのホームステイ中に迎えた勇気君という日本の男の子の話です。
アメリカの人のホストファミリーが勇気君に、サプライズパーティ―で誕生日を祝ってくれたお話です。

このストーリーに今まで英語、韓国語、スペイン語で取り組んできました。
数年前でしたが、3言語ともCDなしでワンマンロールプレイできます。

今回ロシア語は、シャドイウングから苦戦でなかなか言えるようになりませんでした。
毎日15分から30分くらい、運転しながらロシア語のCDのシャドウイングを続けました。
そのうち、歌のさびの部分だけは歌えるようになるみたいに、ロシア語のストーリーのことばも少しずつ言えるところが増えました。

シャドイウングを繰り返すうちに、ある日突然、今まで早くて聞き取れなかったところがゆっくりクリアに聞こえるように変化します。
CDのネイティブが言うのとぴったり同時に言えたり、そのうちCDの前に言えるようになるように変化していきます。

また、何度も同じ音を聞くうちに、単語の意味がわかったりします。
誰にも教わっていないのに、初めて触れる言語の意味がだんだんと理解できるようになっていくのです。

シャドウイングを続けて1か月以上たったころ、今度は私の頭の中に、
ロシア語のストーリーが自然に流れるようになってきます。
全く意図していないのに、まるで流行りのCMみたいに頭の中に自然に流れ始めます。

シャドイウングでロシア語が、そんな風に私の中で変化していくのが、すごく面白かったです。

今までやった3言語では、ロシア語ほどは苦労しませんでした。
英語、スペイン語、韓国語よりもロシア語は、母語である日本語と
距離があるのかもしれません。
母語である日本語と違えば違うほど、
聞こえた音声をそのまま同時に再生するシャドウイングができるまでに、時間がかかります。
日本語と違うからこそ、聞こえる音域が広がり、再生できるリズムやメロディーが増え、口や舌の筋肉が、より多様な音声を出せるようになるのです。
聞き取れる音とリズム、そして口から出せる音とリズムは連動して増えていきます。

ではどうして、多言語のシャドウイングがコミュニケーション力を育てるのでしょう。

それは、シャドウイングの「聞いた途端に」同時に口に出すことに、秘密があるのです。

日本語と距離のある、音声、リズム、メロディー(イントネーション)の言葉を、ただ聞いているだけだと、日本語と比べてしまいます。
ただ聞いているだけだと、日本語との距離を強く感じます。
つまり日本語を通して、他の言語をジャッジしてしまうのです。

例えば「変な音」とか「怒ってるみたい」とか「早すぎる!」とか。
日本語の音の枠組みから一歩も出ないで、他の言語をジャッジしてしまいます。
そして日本語の音の範囲の中で、聞こえる多言語を再生しようとしてしまうんです。

例えば英語の音だと、And を「アンド」とカタカナの音で表現したり。
子音だけのdをカタカナのドと発音してしまうのは、日本語の音に変えているのです。

これは聞いた後からまねして言ってみるリピートだと、よく起こります。
シャドイウングは同時に口から出すことで、どんなに日本語と違った音声、メロディ、リズムの言語でも、ジャッジなしに受け止め、口から出すことができるようになるんです。

シャドウイングを繰り返して、だんだんナチュラルにその言語が言えるようになることは、単なる発音練習ではありません。
最初は雑音だった外国語が、人間の言葉になるのです。

入会して2か月ちょっとのメンバーが、ロシア人留学生がロシア語で読んでくれた『裸の王様』の絵本を「知っているロシア語が聞こえるかなと思って聞いていました」といったことがあります。

わずか2か月でロシア語を「知っていることば」として聞いている!
これってすごいことだと思います。

シャドウイングで耳を開き、聞き取れる音域を広げ、そして聞こえたままを口から出せるようになることは、どんな言葉も受け止める器を作ります。
それが多言語になると、その器はとても大きくなります。

ロシア語に苦戦しながら取り組んだ3か月。
シャドイウングの聞こえ方、言え方が変化するのを感じながら
多言語のシャドイウングがなぜコミュニケーション力を育てるのか。
わかったように思いました。

ABOUT ME
shigechan1783@gmail.com
NPO多言語広場CELULASのコーディネーターをしています。 セルラスではたくさんの言語(ことば)に同時に触れながら、世界中の誰とでもコミュニケーションできる力を育てています。 ことばはスキルでもツールでもなく、人と向き合い思いを伝え分かり合うために、人類が手に入れた尊い宝物です。 大人から子どもまで、多様な人たちが一緒に、ことばと人を育てあう場は、心とことばが同時に育つ場です。