NPO多言語広場CELULAS

多言語で、英語楽になります!

3月11日(月)は先日の講演会を聞かれた方への
多言語活動を体験してもらうお話会でした。
お話会では、いつもちょっとした仕掛けをします。
私たちはどんな多言語習得活動をしているのか。
それを体験するとどんなことが起きるのか。
先日のお話会を例に解説させてください。

どんな言葉も、それが話されている状況や場面
人間関係やその時の感情、感覚とともにある。

そこから切り離して
単語や文字やフレーズを覚えることが
どれほど非効率的なことか。

言葉には、そのメロディーとリズムの中に
膨大な情報量があって
感情だったり
人間関係だったり
その場の出来事だったり
体感している感覚だったり。

文字で書くと平板になってしまうけど
音があると、あらゆることを想像できる。
怒っているのか
泣いているのか
喜んでいるのか
不安でいるのか。

上から目線なのか
甘えているのか
驚いているのか
痛みがあるのか。

言葉の持つメロディーとリズムから想像できる情報量って
本当にすごい量だ。
これを直に受け止めて、その人の表情や身振り手振りまで受け取るのと
翻訳機で自分の母語に訳してしまうのとでは
受け取れる情報量が全く違ってしまう、と私は思う。

お話会の最初に、何の説明もせずロシア語を聞いてもらった。
ある方は「耳をふさぎたくなるくらい、わからない言葉だった」と表現していて
意味の分からない雑音を聞くことの苦痛を話してくれた。

そのあと、ストーリーの日本語を読み合せしてもらった。
次に席を立って、ストーリーの場面を想像し
その中の役割に分かれて、その場面をロールプレイしてもらった。

そしてもう一度、ロシア語を聞く。
すると参加者の方からこんな感想を聞きました。

「もうさっきみたいに辛くありません」
「さっきは、男性の声はみんな同じに聞こえて、
全部一人が話していると思ったけど
今聞いたら、ここまでは誰が話していて
ここからは誰が話しているということが
よくわかった」
「意味を想像しながら聞けた」

私はこれが、雑音=わからない音の羅列から
人間のことばに変わる瞬間だと思っています。

私たちの母語である日本語で
その場面と状況を想像&創造し
そこで味わった感情や見えた場面、
相手の表情や動いた状況などを体感して
それから聞くロシア語のストーリー。
なんて言っているか、なんとなくわかる言葉になるのです。

この変化は大きいのです。
外国語というだけで、
しかも普段ほとんど聞いたこともないロシア語は
日本語ととても違うので、拒否感や恐怖さえ感じられるのですが
生き生きと場面のイメージをして
その場で生まれる感情も味わい
相手と目を見合わせて、表情とジェスチャーで理解しあってから聞くと
どんな言葉も「わかる」と感じられるのです。
そのくらい、音とイメージが一体となったものが
言葉なのだと思います。

この後、同じストーリーのスペイン語を聞いてもらいました。

参加者の感想が素晴らしくて
「ロシア語よりはわかる感じがした」
「たくさんの言語を同時にするのって
難しいかとお思っていたら、実は効率的なんですね」
「スペイン語やったことないのに、
なんで意味が分かる言葉があるんだろう」

最後に同じストーリーの英語を聞いてもらうと
お二人の参加者の表情に驚きの色が浮かびました。

「さすがに英語は、今までの中で一番わかります」
とお一方がいい、もうお1人は

「私は英語がこんなにわかっているし
聞き取れていたことを今知りました!」

と興奮した面持ちでおっしゃいました。

その方は、国際結婚しているお友達の家に遊びに行くと
ご主人とは全く話ができないし
会話に入ることができないと言っていらした方でした。

私はすでに英語が聞き取れるし、理解できていた。

参加者の方の自己認識、自分のイメージが
そこで一気に変わった瞬間に立ち合いました。

表情がぱっと明るくなって
すごくうれしそうな笑顔でした。

人は誰でも言語獲得装置を生まれながらに持っていて
育つ環境の中で話されていることばを
何の苦も無く話せるようになっていく。
赤ちゃんや小さな子供たちの母語習得のプロセス。
それに学んだセルラスの多言語習得って
特殊な能力を養うものでもなんでもなくて
自分の本来持っている力に気づいて
どんな言葉にも、何の壁も無く
不安も恐怖もなく、人間の話すことばはわかるという
信頼を自他ともに育てることなんです。

そして自分が体験したことのない「遠い」言葉に出会うと
それまでに体験のある自分にとって「少し近い」ことばが
ぐ~んと自分に寄ってきて、すごくわかるようになる。

これも多言語に同時に触れながら、
核となるイメージを母語で持つことの
ミラクルな結果です。

人間の脳ってなんて不思議なんだろうと思います。

結果として多言語をやることは、少し体験のある英語が
より分かるようになる。
英語がぐ~んと楽になるというお話。

参加者の方の嬉しそうな笑顔を見て
日本人は英語が苦手なんて誰が言ったんだろう。
そんな間違った思い込みを日本から消したい。
日本人に自信を取り戻したいし
特に子どもたちには、
最初から自然に言葉に触れてほしいと
願いを新たにしたお話会でした。
楽しかったです!(^^)

ABOUT ME
shigechan1783@gmail.com
NPO多言語広場CELULASのコーディネーターをしています。 セルラスではたくさんの言語(ことば)に同時に触れながら、世界中の誰とでもコミュニケーションできる力を育てています。 ことばはスキルでもツールでもなく、人と向き合い思いを伝え分かり合うために、人類が手に入れた尊い宝物です。 大人から子どもまで、多様な人たちが一緒に、ことばと人を育てあう場は、心とことばが同時に育つ場です。