NPO多言語広場CELULAS

多言語が楽しい!-ワンマンチャレンジしていますー

私はNPO多言語広場CELULAS(セルラス)のメンバーになって18年目。
厚木でコーディネーターになってから7年目になります。

最初から多言語に興味があったわけではありませんでした。
英語だけでいっぱいいっぱいで、他の言葉までとてもやる気になれない。

入会当時の18年前は、そんなネガティブなメンバーでした。
興味があるのは国際交流だけなんて言っていたんです。
けれど、多言語の持つ力って本当にすごくて、そんなネガティブな
英語にしか興味のなかった私でも、どんどん変化していきました。

英語にしか興味がなかったころの私は、英語も全然できませんでした。
週に2回英会話の個人レッスンに通ったこともありましたが
全然伸びませんでした。

英語ができないことを、人間として劣っているようにさえ思って
英語ができる人に強いコンプレックスを感じていました。

今思えば、言葉に上下のあるわけもなく、
どんな言語も、その言葉を使う人間同士の環境があれば
それが人間の言葉として、生き生きと働き始めるということを
その頃の私は信じられませんでした。

すごく優秀な人が、真面目に真剣に勉強して
やっと英語でも何語でもできるようになるのだと思っていました。
それは遥かエベレストのような高みにある目標で
特別な人だけが到達できる理想郷なのかと思っていたんです。

今の私には、セルラスという場があり、
同じストーリーを共有して楽しむ仲間がいます。
セルラスのオリジナルストーリーって、
色んなひとがその国にホームステイに行った時の実話がもとになっています。

全部で25話あるオリジナルストーリーを、一つ選んで一緒に取り組みます。
今は韓国にホームステイに行ったお母さんと5歳の女の子の体験談。
『キムチ作り』というストーリーを、フランス語、スペイン語、ロシア語、韓国語、英語でやっています。
先日行われた韓国の交流団体、LEX Koreaとの交流も
このストーリーをやっていた子どもたちは、
韓国に、言葉だけでなく、食事や生活習慣や、家族の関係など
あらゆることに興味津々でした。

言葉は技術でも道具でもないですし、
言葉の背景には豊かな文化や歴史、生活習慣
人々の営み、共通のものも違うこともたくさんあります。

言葉を聞いたとき、そこにイメージがあるということ。
言葉を聞いただけで、蘇る感覚や感情、体感があるということ。
それが、言葉の違いを超えて、人と人をつなぎ、分かり合う力になります。

そしてそのイメージ、体感を伴った言葉であるためには
その言葉の自然なリズムとメロディがとても大切です。

良く発音は難しいとか発音を問題にすることがありますね。
聞き取りの力、リスニングを問題にすることもあります。
それは、一つひとつバラバラにあるのではなくて
イメージとその言葉らしい自然なメロディとリズムを
一体のものとして身に着けることで、自然に働く言葉になるのです。

そんなことができるの?!

だから単語を一つひとつ覚えたり、日本語の意味を単語ごとに暗記したり
発音練習を、それこそ単語ごとに積み重ねることでは
残念ながら、労多くして、自然に働く言葉には、
遠回りというか到着しないのです。(悲報ですが)

私たちは学校でそのやり方の勉強しか教わりませんでしたから
英語学習では、英語が働く環境を抜きに
英和辞典と和英辞典で、日本語で考えて日本語で訳すことが英語の勉強でした。

私は現在57歳で、40歳でセルラスに入会するまで
完全に日本の英語学習の世界にいて、それしか知らず、それを信じていました。
今でも、まだその頃の後遺症で
上手でなければ話したくないとか、
間違ったら恥ずかしいとか、気をつけないと出てきます。

どんな言葉にも、人にも、文化にも開かれた
違いに興味を持ち、違いを認めつつ、
違いを超えて理解しあえるという人間信頼。

それを育ててくれるのが、多言語活動ですが、
様々な活動で私が今一番大事だと感じているのが、
日本語のイメージを体全体でジェスチャーで表現しながらする
多言語のシャドウイングです。

多言語が働く環境は、自分で意識して作らないと、
すぐ単言語の日常に戻ってしまいます。
毎週の地域のグループ(ピアザ)の集まりは週1回。
ピアザのメンバーは、同じストーリーを楽しみ、
それを多言語でシャドウイングしている仲間です。
仲間とことばやイメージを共有していることが
家で一人になった時の自分を支えてくれます。

今私は今年のサマーキャンプの課題である
フランス語(今年出たばかり)と中国語を重点的に取り組んでいます。
日本語でストーリーを声を出して読み、その場面の情景
そのセリフを話す人の動き、持っているもの、感情を思い描き
フランス語のCDを聞きながら、聞こえたと同時に言葉を口に出す
シャドイウングをするのです。

シャドイウングって本当に面白いんです。
最初は自分の舌も口も、CDのフランス語のネイティブスピードに
全くついていけません。
でも少しずつ、ついて言える部分が増えていき
言えない部分が聞こえてきて、
パズルを埋めるように言える部分が増えていきます。

聞こえるのと、言えるのは連動していて
繰り返しシャドウイングすればするだけ
ジグソーパズルのように言葉のつながりは自然に埋まっていきます。
日本語の音にはない発音も、すごく早い音のつながりも
段々と口になれていきます。

するとCDよりも先に言葉が出てくるようになったり
昨日まで全然言えなかったところが、今日は言えたり
目覚めるときに、フランス語が頭の中で聞こえて
頭の中では、全部言えていたり、という変化が起こってきます。

8月18日から、毎朝ワンマンチャレンジを始めました。
ワンマンというのは、ワンマンロールプレイの略で
何人かの登場人物のロールプレイを一人で全役やるのでワンマンロールプレイと言います。

CDのシャドウイングは、ほぼ完ぺきにできるようになっても
CDがないと、一部抜けてしまったり、つっかえてしまったりするところが残ります。
CDなしで、全部の役を、ジェスチャーもいっぱいしてフランス語や韓国語でストーリー全部を話す。
それがワンマンロールプレイです。

毎朝9時に25分だけ、メンバーにも呼び掛けて、
ワンマンロールプレイができるように練習会を
「ワンマンチャレンジ」と名付け、提案して始めました。

誰も参加しない日もありますが、
一人でするのも毎回工夫することがあって楽しいのです。
Zoomでするので、自分のシャドイウングを録画したら
CDの音だけでシャドウイングするより、ジェスチャーを見る分すごく入りました。

シャドウイングすればするほど、自分が受け入れられる言語の幅が広がります。
昨年まではテレビでフランス語が聞こえても「知らない言葉」としてスルーしていました。
今はフランス語が聞こえると、知っている言葉として意味を聞こうとしています。
外国語がただの雑音ではなく、人が気持ちをもって話している人間のことばになるのです。

そしてシャドイウングはまさに筋トレなので
毎日すれば身体が変わります。
耳も口も変わり、音が聞こえた時に体全体が反応するようになります。

フランス語や中国語ばかりやっているのに
既に知っている、英語や、韓国語やスペイン語が育っていて
英語で同じストーリーを聞いたら
体中がアメリカ人のようになり、ジェスチャーが変わり
気持ちも英語を話す時の感情になります。

韓国語でも同じことが起きます。
英語を話す人の感覚とジェスチャー。
韓国語を話す人の感覚と仕草や表情。
スペイン語を話す人の言い方や体の動き。
それがCDのその言語を聞いた途端に
自分の体に再生され、気持ちがすっかりその言葉を話す人のようになる。

多言語って面白いなあとつくづく思います。

最近、シャドイウングもおざなりになっていて
ワンマンロールプレイもできないままでストーリーを終わらせることが続いていました。
もったいなかったなあと思います。

多言語やればやるほど、体が変わり、心が育ち
多様性に開かれていくのに。
やらないと、感じることができないのが多言語の楽しさだし、
自分が変化するのを感じて、多言語が益々面白くなっています。

ABOUT ME
shigechan1783@gmail.com
NPO多言語広場CELULASのコーディネーターをしています。 セルラスではたくさんの言語(ことば)に同時に触れながら、世界中の誰とでもコミュニケーションできる力を育てています。 ことばはスキルでもツールでもなく、人と向き合い思いを伝え分かり合うために、人類が手に入れた尊い宝物です。 大人から子どもまで、多様な人たちが一緒に、ことばと人を育てあう場は、心とことばが同時に育つ場です。