つぶやき

兄の魂を心から尊敬しました

昨日、私が長い間無意識に抱いていた思い。
頭が悪いと思われたくない、という恐れ。

その恐れの原因が、兄の同級生からのイジメだったことを思い出しました。
今朝、ふとその兄の同級生たちのことばをもう一度思い出しました。

私の兄が「ゴキブリ」と呼ばれていたことを。

私はなんで今まで気が付かなかったのでしょう。
私がイジメられた比ではないほど、
兄はイジメられていたということに。

自分のことしか見えていなかった。
兄の妹だったせいで、自分がイジメられて可哀そうだと。
今の今まで思っていたのです。
それ以上に、直接彼らのいじめを受けていた兄が
どんな思いで毎日学校に行っていたのかを
想像したこともありませんでした。

イジメられていたのは兄だったのに
兄は一度もイジメられたと話したことはなく
私も一度も考えたことがありませんでした。

兄はクラスで何を言われ、何をされていたのか。
想像したら、涙が止まらなくなりました。

辛かったろうに。
悲しかっただろうに。
そのことを一度も語らなかった兄。
どんな思いで生きていたのでしょう。

考えることがゆっくりで
走ることもゆっくりで
自然が好きで
虫が好きで
絵が好きで。

実験が好きで
ビンの中で酵母を発酵させて
膨張したガスでビンのコルク栓が吹き飛んで
自分の部屋の天井と壁を
カビだらけにして怒られた兄。

その壁に真っ赤なラッカーを塗って
そこに壁画を描いて
母ににますます激怒された兄。

生きるのが不器用で、
いつも生きづらかったろうに
よく笑っていた兄。

兄はただ優しかっただけなのに
そんな兄を、私はいつのまにか
あのいじめっ子たちの側に立って
恥ずかしいと思ってしまったのでした。

頭が悪いのは恥ずかしいことだと
成績が悪いのは、馬鹿にされることだと
いじめっ子と同じ価値観で
兄を裁き、自分は違うと
アピールしてきたのです。

私はなんて愚かで、冷たい人間だったのだろう。

そのことに気づいたとき、
涙があふれて止まらなくなりました。

そして思ったのです。

世間の評価とは無縁のような
この不器用で無欲な人生を選んだ兄の
その魂はなんと勇敢な魂だろうと。

社会的成功とか、
世間の評価とか
世の中一般の価値観に
どれほど当てはまらなくても

兄の魂の尊さと、輝きは
何人も侵すことのできない
尊いものだということが
今日初めて分かったのです。

兄の魂が生きると決めた過酷な人生。
その人生を選んだ兄の魂の勇敢さを
心から尊敬しました。

すると、また突然気づいたのです。
今まで恥じて、自分とは違うと切り離していた兄の
その魂がどれほど、自分の近くにいて
どれほど大きな愛を私に与えてくれたのかを。
兄を疎んじ、離れようとした妹の私を
兄の魂はずっと許して、そしてわかってくれていた。

兄の深い愛を感じて、涙がとめどなく溢れました。

そしてまたわかりました。
兄の魂が尊いのとまったく同じに
私の魂も尊いことが。

そして同時に気づきました。
兄も私も、
今この世に生まれてきたどの魂も
全て皆尊いということに。

兄の魂を尊敬することは
自分の魂を尊敬することでした。
自分の魂を尊敬することは
この世に生きるすべての魂を
尊敬することでした。

どんな人生も全て、その魂が選んだのです。
幸不幸もなく、
その人生を生きると決めた勇敢な魂の挑戦なのです。

だからどの魂もみな尊くて
生きているその命の価値は
平等なんだと。
このことに気づかせてくれた兄の魂に
感謝でいっぱいになりました。
そしてまた泣きました。

昔母から
自分が赤ちゃんだったころの話を聞きました。

母の弟夫婦には子供ができませんでした。
母は弟を可哀そうに思って、私を養女に上げようと思ったのです。
貧しい家の5番目に生まれた女の子の私を、
子どものいない弟夫婦はもらいたいと
ある日ふたりで、我が家にやってきました。
私は1才、兄は2歳だったそうです。

けれどその晩、まだ2歳だった兄は
どうしても寝ようとしませんでした。
「茂子をやらないで。連れて行かないで」
そういって泣いて、私のそばから離れなませんでした。

叔父夫婦はそれを見て、無理に引き離すことはできないと
あきらめて帰っていったそうです。
大人になってから、母から聞かされた話でした。

心優しい兄のおかげで、
私は実の両親のもとで育つことができました。

急にそのことを思い出して、また涙を流しました。

今まで常に人をジャッジし
自らもジャッジし続け
一時も心休まるときはなく
苦しくて、
どうしたらジャッジをやめられるのかと
優劣の比較の世界から抜けられるのかと
悩み、答えを探し続けてきました。

どんな困難な人生を選んだとしても
今どんなにつらい状況にあったとしても
全ての魂が、等しく尊いことを
兄のことを思い出すことで
理解することができました。

どんな魂も自ら選んで生まれてきて
自ら決めて様々な制限にチャレンジしている。

思い出させてくれてありがとう。
心の中の兄に感謝の祈りを送りました。

ABOUT ME
shigechan1783@gmail.com
NPO多言語広場CELULASのコーディネーターをしています。 セルラスではたくさんの言語(ことば)に同時に触れながら、世界中の誰とでもコミュニケーションできる力を育てています。 ことばはスキルでもツールでもなく、人と向き合い思いを伝え分かり合うために、人類が手に入れた尊い宝物です。 大人から子どもまで、多様な人たちが一緒に、ことばと人を育てあう場は、心とことばが同時に育つ場です。