NPO多言語広場CELULAS

ロールプレイの面白さー遊ぶ楽しさでことばが育つー

今日は金曜日。
私がコーディネーターをしている厚木ピアザの多言語活動の日でした。

毎週金曜日に集まって1時間半のピアザ(大人も子どもも一緒に多言語活動する場)を開催しています。
コロナ感染を防ぐため、6月いっぱいはZoomを利用しオンラインでの活動でした。

NPO多言語広場CELULAS(セルラス)では
今、オンラインだからこそできる、様々な取り組みをしています。

関西と関東のピアザが合同でピアザを開催する合同ピアザ。

自分が所属する地域以外のピアザに
オンラインで参加させてもらう、どこでもピアザドア。

『理事長と話す会』はZoom開催で7回行いました。
毎回、全国からたくさんのメンバーが参加して、
セルラスの多言語活動や子育てについて
理事長の話を聞き、メンバーの体験談も話され
活発なディスカッションが行われました。

今日の厚木ピアザにも、世田谷や渋谷、品川の親子メンバーや
飯田橋の中学生が、どこでもピアザドアで来てくれました。
会場でのリアルピアザだったら実現しなかったオンラインならではの交流です。

今日のピアザでは、中国語のストーリー『中華鍋マジック』を楽しみました。

今はサマーキャンプ(リモートで行います)に向けて全国のピアザが
同じストーリーに取り組んでいます。
サマーキャンプに参加するメンバー(小3から高校生まで)だけでなく
参加しない大人も年齢が小さい子たちもサマーキャンプ準備をみんなでします。

サマーキャンプには全国共通の多言語活動の課題があり、
参加するメンバー中心に、ピアザのみんなで課題に取り組み
サマーキャンプの準備をします。

課題は「キムチ作り」というストーリーを
フランス語ともう一つ別の言語で
自分の中のストーリーのイメージをワンマンロールプレイで表現すること。
中国語のストーリー『中華鍋マジック』もワンマンロールプレイで表現します。

その他に自分が話したいことを、何か国語かで話すプレゼンは自由課題です。

私も含め、ピアザのメンバーみんなが、
それぞれサマーキャンプの課題に取り組んでいます。

でも、勉強もしませんし
教える人も、習う人もいません。
暗記もないし、もちろんテストもありません。

努力するとか頑張るとか、優劣を競う世界とは
全く違うのが、セルラスの多言語活動です。

あれ?
なんだかゲゲゲの鬼太郎の歌みたいですね。(古い?)

今日みんなでやったのは
中華鍋マジックという中国語のストーリーでした。

ストーリーでは、日本人のお母さんと中国人のお母さんが
お昼に道で会って立ち話をするうちに
一緒にお昼を食べることになり、
中国人のお母さんが鶏肉のソテーとほうれん草スープを作ってくれるお話です。

Zoomのブレークアウトルームを使ってグループに分かれ
グループごとにこのストーリーを20分、
日本語でロールプレイしました。

その後メインルームにみんなが戻ってきたので
それぞれのグループに、
どんな設定でロールプレイしたか聞きました。

ロールプレイはストーリーを覚えるためではなく
その場面を楽しく体験するためにやっています。

あるグループは、二人のお母さんをアニメキャラに
(鬼滅の刃と、ちびまる子ちゃんとおそ松くんのキャラ)
になり、そのキャラのしゃべり方でロールプレイしたそうです。

他のグループでは、
「アメリカにお洋服を買いに行って、そこで二人が会って
それからお昼を一緒に作ったから、アメリカ人ぽく話したの。
楽しかった~」
と小2の女の子がケラケラ笑って言っていました。

別のグループは、ストーリーはお母さん同士が会ったのに
それぞれのご主人同士が会ったことにして、
お父さんの話し方でロールプレイしてみたそうです。

今日の参加メンバーは
お母さんが7人、お父さんが1人、
中学生1人、
小学生は小62人、小41人、小32人、小21人、
幼稚園生は、年長1人、年中2人という構成でした。

ロールプレイは、年齢関係なくみんな一緒にやりますし
関係も対等です。
ですから、役決めや設定のアイディアも、
幼稚園生と小学生、中学生、大人が
一緒に考えて、一緒に作って楽しむんです。

アメリカに洋服を買いに行って出会った設定なんて
大人には到底思いつかない、子どもの自由な発想です。

ロールプレイでは、ストーリーを
自分の言葉で話し、自分のイメージで動きます。
相手とやりとりして、笑いあって、共通の体験をするのです。

その後、中国語のストーリーをシャドウイングして、
見つけた音や、日本語みたいな空耳や、気になる言い方など
みんなで気づいたことを出し合います。

これも正解も間違いもなく、空耳もOK。
そしてもう一度CDを聞いてシャドウイングしてみると
みんなが聞こえたと出し合った音が、
自分にもどんどん聞こえるようになってきます。

「あるある~。あったね~!」
そうやって聞いているうちに、
これはストーリーのこの部分だとわかったり
意味が想像できたりして、それも出し合います。

みんなで楽しんだストーリーと
みんなで聞いてみつけた中国語。
それがどんどんつながっていきます。

何も見えなかった海面に
だんだんと島影が見え始めて
それがつながって陸地になっていくように。

中国語の音と共有した体験が、
自分のイメージやジェスチャーに重なっていくのです。

中国語なのに
まるで知っている言葉のように
なんの不足感もなく
難しさも感じないうちに
イメージを作り、音をみつけ
身体を動かし、感情が伴った言葉になっていく。

このプロセス全部が遊びで
全部がゲームなのです。
無理がないから、ストレスもありません。

多言語活動は遊びのように見えます。
遊びだから、何も恐れることなく
どんな言葉を話す人にも心を開き、
相手の話に耳を傾け、伝えようとすることを想像し
相手の話すのと同じように
自分も話すことができるようになるのです。

多言語の活動は、遊びながら
人間への信頼を育てているんです。

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ABOUT ME
shigechan1783@gmail.com
NPO多言語広場CELULASのコーディネーターをしています。 セルラスではたくさんの言語(ことば)に同時に触れながら、世界中の誰とでもコミュニケーションできる力を育てています。 ことばはスキルでもツールでもなく、人と向き合い思いを伝え分かり合うために、人類が手に入れた尊い宝物です。 大人から子どもまで、多様な人たちが一緒に、ことばと人を育てあう場は、心とことばが同時に育つ場です。