私のイギリスのホストファミリー、ジュディとジェフが来日する19日が間近に迫ってきました。
そのせいか、イギリスでの思い出が色々蘇ってきて、ふと涙ぐんだりしています。
私は、二人のおうちにホームステイした1年で、精神的には小学校入学から高校卒業ぐらいまで育ててもらったような気がします。
実際は46歳から47歳の1年を過ごしたんですが…。
いや、精神的には幼児だったかも。
あの頃はそのくらい、劣等感が強く、過緊張で、人の評価ばかり気にして生きていました。
そんな私に2人はいつも辛抱強く、愛情豊かに、まるで本当の両親のように私に接してくれました。
思い出すたびに、今も感謝の思いがあふれます。
私は2008年7月から翌2009年7月いっぱい、イギリスの小学校でインターンとして日本語や日本文化を教えました。
働く経験を通してsの国の言葉や文化を学ぶインターンシッププログラムで、受け入れてくれる小学校で、ホストファミリーを見つけてくれて、通勤と食事が提供されました。
私をインターンとして受け入れてくれたのは、コヴェントリー市の2つの小学校でした。
月・火・水と木・金でそれぞれの小学校で教えました。
ジュディは月曜から水曜に勤務したパークヒル小学校の元先生で、その時は学校のアドバイザーをしていました。
パートナーのジェフは自動車会社に勤務していました。
ジュディとジェフ夫婦がホストファミリーになってくれて、新学期が始まる9月から翌年の7月末まで、約1年間ホームステイさせてもらいました。
イギリスの暮らしは何もかも初めての経験だったので、最初はバスに乗って小学校から家に帰ってくることさえ、大冒険でした。
朝は毎朝、ジュディが学校に行くバス停まで車で通勤途中に送ってくれました。
帰りは自分一人で学校からバスにのり、朝のバス停まで来て、30分歩いて帰りました。
最初の日、道がよくわからず何度も迷って、家に帰るのが遅くなってしまいました。
ジュディの持たせてくれた住所を書いてある紙と、何度か電話をしたり、テキストを送ったりしながら、ようやく家にたどり着いたら、玄関前でジュディが心配そうに外に出て待っていてくれたのを思い出します。
バスに乗る、電車に乗る、歩いて駅まで行く。全てが冒険でわからないことだらけでした。
その頃がホームステイの幼児期だったと思います。
毎晩の夕食で、私はジュディにその日の出来事や困ったこと、驚いたことなんでも話しました。
それは最後まで変わらなかったけれど、イギリス人の家庭でわからないことの意味を聞きながら暮らせたことは、英語のみならず、文化や生活習慣、価値観や市民として生きる生き方までも教えてもらった気がします。
途中、まるで十代の反抗期のような時期もあり、ジェフのTeasing(からかい)に本気でむかついて文句を言ったり、部屋に入って悔しくて泣いたりしたこともありました。
英語もよく話せない赤ちゃんのような私を、小学校で働くことや子どもたちに対する態度や、学校で大切にされているルールまで、本当によく教えてくれたし、決して笑わず、焦らず、優しく見守り、励ましてくれました。
それは父親を5歳で亡くし母一人の手で育った私には、経験したことのない、温かい家庭と頼りになる両親の存在でした。
私はイギリスで育ちなおしたと思っています。
夫婦がお互いを信頼しなんでも話し合い愛し合っている。
そんな両親のもとで、配慮を持って育つという時間を過ごしたのです。
神様が与えてくれた尊い、尊い時間でした。
2人がどんなに信頼しあっているか、同じ価値観を共有しているかわかる、エピソードがあります。
11月近くなって、朝ジェフと朝食を食べながらBBCのニュースを見ていたら、ニュースキャスターが胸に赤いポピーの花のブローチをつけていました。
ジェフが「あれは、11月11日のウォーメモリアルデーの時につけるもので、こういう人たちは早くからつけているんだよ。駅や色んな所でドネーションしてもらうことができるから、小学校で働いているなら早く、つけた方がいいと思うよ」
夕方家に帰ってきたジュディがそのポピーの花を手に持っていて、
「これは11月11日のウォーメモリアルデーの時につけるものなの。小学校で働いているなら早く、つけた方がいいと思うよ」
と全く同じことを言いました。
良くこういうことがあって、私が笑うと
「ジェフも同じことを言ったのね。仕方ないわね。30年以上も夫婦をやっているから考え方も似てくるのね」とジュディもいつも笑うのでした。
本当に二人に教えてもらったこと、励ましてもらったこと、そして守ってもらったことは数え切れません。
そのイギリスの両親の二人を、日本の我が家に迎えることができる幸せをしみじみ感じています。
私もあのころから考えると、ずいぶん大人になったような気がします。
ジュディ、そしてジェフ、会いに来てくれてありがとう。
Thank you for coming and meeting me again.
My dearest Judi & Geoffxxxx