NPO多言語広場CELULAS

ことば(外国語)に悲しみのない世界ー私がセルラスでみつけたことー

NPO多言語広場CELULAS(セルラス)で子どもの母語習得のプロセスに学んだ、多言語習得滑動を、お母さんや子どもたちとしています。

厚木でセルラスの多言語活動をするグループ、厚木ピアザを2013年3月にたちあげて
もう8年目を迎えました。

厚木ピアザには、今最年少の3歳で彼は1歳からお姉ちゃんと一緒にピアザに来ていたし
その上の世代の4歳が3人もいます。
幼稚園生、小学生もたくさん来ています。

小さい子がいることで、私はセルラスで言葉の活動を始めた原点を
もう一度思い出すことができています。

この間、お母さんが姉妹が多言語のストーリーで遊んでいる様子を
ビデオに撮って送ってくれました。
今はコロナ自粛のため、直接会えないので
お母さんたちやお父さんがビデオに撮って送ってくれるようになりました。

お家でリラックスしているせいなのか
のびのびとセルラスの活動で遊んでいます。

9歳と7歳と4歳の姉妹がいて
今度やることになったストーリー
『家の案内ーアメリカ編』
(アメリカの家にホームステイすることになった中2の勇気君が
到着初日にホストファミリーの家を家族に案内してもらうお話)

お父さんとお母さんを4歳末っ子ちゃんが
兄弟のティムを長女の9歳が
主人公の勇気君を次女の7歳が
ストーリーブックのお話を読みながら
その場で世界を作っていくのです。
ただ書いてあるセリフを言うだけじゃなくて

ここが玄関でお庭からこっちに入ってきたでしょう。
こっちがお部屋でここにベッドがあって
洗濯機と冷蔵庫と
シャワーの蛇口はこっちがお湯で~
お庭はこっちで
トランポリンがある~っと上の二人が飛び跳ねる。

お父さん役の4歳が二段ベッドの上で何だか手を振り上げていて
そこはティムと勇気が話しているシーンでお父さんにセリフはなく

ビデオ撮ってた3人のママが
「お父さんはそこで何してるの?」と聞いたら
4歳の末っ子ちゃん
「屋根に上ってお家を直しているの~」
って、役になり切りすぎなお応え。

お父さんのセリフの
「勇気、家に着いたよ。
ここが今日から勇気の家だよ」
を言わせようと、長女のお姉ちゃんがストーリーブックを広げて見せ
小さい声でセリフを言ってあげると
それをそのまま、口に出して、しっかりお父さん役を演じるんですが
そのしっかりした口ぶりが、4歳の小さな笑顔となんとも言えない可愛さで
それにしても、文字が読めるわけではなくて
お姉ちゃんたちの言葉の言い方を、
完璧にまねてそのまま口に出しているのです。

すごいなあ~。
日本語が話せるようになる時
聞いただけで完全に発音、イントネーション、言い方の表情までも
言った人を完コピして同じように話すことができるんです。
(この能力は大人になるにつれてできなくなり、
自分の言い方に無意識に変えてしまうようになります)

この姉妹が母語である日本語を話す能力には
違いがあります。
語彙の多い少ないとか、小学校に言っている上の二人の経験値も
知っている情報の量も段違いでしょう。

でも三姉妹の誰一人、日本語能力を比べたり
優劣を競ったり、評価したりしません。

末っ子ちゃんは知らない言葉が出てきて
たとえわからなかったとしても
自分はなんてダメなんだ、なんて悲しみません?

それ、どういう意味?
って聞くだけでしょう。
もちろん、聞こえた言葉をオウム返しにして。

人が小さいころから自然にできるようになったことって
遊んでいるうちについた能力って
余りに当たり前で、比べたり、落ち込んだり、優越感に浸ったりしないのです。

最近、アメリカでの講座をZoom配信しているのを
何人かの仲間と一緒に聞く機会がありました。
内容はとても面白いものだったのですが
参加した他の友だちが
「途中から英語を聞く集中力が無くなり
何を言っているのか全く分からなくなって
辛くて、ノートの漫画を描いていた」
と言ったり、他の友だちも
「英語が全然わからなくて悲しかった~」
と言うのを聞いた。

さっきの3姉妹は、ストーリーを面白がって
役の人物になり切って、全身使って演じて遊んでいて
アメリカの家の世界が3人で一緒に共有する世界になって
そこでしたケラケラ笑いながらした経験は
それが英語になっても、フランス語になっても
もう経験済みの知っている世界のことなので
わかると思って聞くし、
そのままシャドウイングして口に出すし
沢山の意味のある言葉を最初から見つけて教えてくれます。

誰も教えないけれど
ロールプレイでお話の世界を身近に感じた子どもたちは
何語で聞いても、わかると思って聞くから
悲しくなったり、
わからないと辛くなることなどなく
ケラケラと笑いながら、
その言葉の意味を全身で見つけるし
全く同じに口に出せるようになります。

だから何人と出会っても
相手の言葉を知らなくても
ただ素直に
なんて言ってるんだろうって話が聞けるし
相手の目を見、表情を感じ、
身振り手振りも全部言葉として受けとめ
意味を理解していくのです。
相手の言葉をそのまま口に出せるから
相手も何がわからないのかわかって、
優しい言葉で言いなおしてくれるのです。

ことば(外国語)になんの恐怖も劣等感もない子どもたちは
今日もケラケラと笑いながら育っています。

多言語の習得滑動を親子で一緒にするということは
家庭の中に多言語の環境ができるということ。
様々な違いをそのまま受け止める心が育つということ。

だって言葉にはその背景に、文化や生活習慣や、
風俗や伝統や、歴史や宗教観までが含まれるのですから。

多言語の環境を身近に持つということの
豊かさと幸せを思います。

子どものいない私にとって
一緒に活動してくれるお母さんや子どもたちの存在は
いつも大切なことに気づかせてくれる
貴重な存在なのです。

これが私がセルラスの多言語習得滑動を
地域のお母さんや子どもたちと続けている
大切な原点となる思いです。

ABOUT ME
shigechan1783@gmail.com
NPO多言語広場CELULASのコーディネーターをしています。 セルラスではたくさんの言語(ことば)に同時に触れながら、世界中の誰とでもコミュニケーションできる力を育てています。 ことばはスキルでもツールでもなく、人と向き合い思いを伝え分かり合うために、人類が手に入れた尊い宝物です。 大人から子どもまで、多様な人たちが一緒に、ことばと人を育てあう場は、心とことばが同時に育つ場です。