NPO多言語広場CELULAS

ことばと感情ーZoom多言語活動体験会開催しましたー①

5月25日(月)と5月29日(金)の2日間、Zoomでの多言語活動体験会を開催しました。

NPO多言語広場CELULAS厚木コーディネーターの石川茂子です。
セルラスではともちゃんと呼ばれています。

3月の学校休校からセルラスでは、毎週の多言語活動の場(ピアザ)を
Zoomでのオンラインに切り替えて続けてきました。

会場でリアルに会えないもどかしさもありましたが、

そのおかげで関東、関西のピアザが相互に訪問しあったり、

全国のセルラスメンバーが一緒にイベントを開催できたり

イタリアやシンガポールの留学生がピアザ(毎週の活動)に参加したりと

オンラインならではの活動の広がりも生まれました。

私たちの多言語活動の楽しさを、一般の方にも体験してもらいたい。

オンラインなら、どこからでも参加できるんじゃないか。

そう考えて、私の所属する厚木とお隣の海老名のメンバーに協力してもらい
無料の『Zoomで多言語活動体験会』を開催しました。

開催して驚いたのは、
Zoomでも多言語活動の面白さは
十分感じてもらえることでした。

体験会参加者の皆さんは
たった1時間の体験なのに
多言語の活動の大切な部分を
深く感じてくれていました。

皆さんの感想を紹介する前に、
そもそも多言語活動の体験会って
どんなことをしたのかをご紹介します。

セルラスの多言語習得は、
赤ちゃんが母語を習得していく
プロセスに学んだ活動です。

赤ちゃんは誰にも教えられずに
周りに起こった状況や
それから受けた体感を
同時に受け止めた言葉(言語音声)の意味としてとらえ
それに対する反応を、
声を出して相手に伝え
返ってきた相手の反応によって
言葉の意味や働きを体得し使っていきます。

言葉は、音声だけ、文字だけ、文法だけで成り立つのではなく
音声と同時にある体験。
それに伴う体感と、それを伝え、受け取ってくれる人がいて
初めて言葉になっていくのだと思います。

この言葉の成り立ちを基に
体験会では、セルラスの多言語活動で大切にしている
2つの活動、1ロールプレイと
2シャドウイングを体験していただきました。

1.ロールプレイ
セルラスは、オリジナルのストーリーを持っています。
世良さんという5人家族それぞれが、
韓国、メキシコ、ロシア、アメリカにホームステイしたという
実話に基づく体験ストーリーです。

そのストーリーを遊ぶために
まず母語である日本語で役に分かれて
ロールプレイします。

書いてあるストーリーをただ読むのと、
お父さん役や子ども役、近所のおばさん役になって、
ロールプレイすることの違い。

何だと思いますか?

読むだけでは、体を動かす必要がありません。
それぞれの役が見ている、
相手の人や、その場の情景、
そこで起きた出来事も、ダイレクトには体験しません。

頭の中で思い浮かべるのと
身体を動かして人と対面でその場面を体験するのは
大きな違いがあるのです。

それは、感情が動かないのです。

「蚊に刺されてかゆいの」と文字を読むのと、
体をボリボリ掻きながら「かゆいの~」というのでは、
自分の中に生まれる感情(体感)が全然違うのです。

それを頭の中で黙読して言うのでなく、
その場にいた相手に伝えると、
今度は相手がびっくりして心配したり、
何か薬を持ってきてくれたりして
体験がますますリアルになるのです。

そう、ストーリーのロールプレイは、
ストーリーの世界を体験し、体感するためにあります。

そして体験した場面で感じた体感が
自分の中にリアルにあれば、
同じ場面を別の言語で話していたとしても
不思議なことに、瞬時に意味が分かる。
なぜなら、体感があるからです。

「かゆいの~」と体をボリボリ掻いているときに
ロシア語が重なったり、フランス語が重なったりすると
その場面とそこで感じた感情が、その音で呼び起こされます。
そのくらい、体験と体感があるということは
言葉の核心部分であり、意味なのです。

これは、赤ちゃんが言葉を話せるようになる時に
やっていることと、よく似ています。
誰からも意味を教えられないのに
ぴったりの場面でぴったりの言葉を話す赤ちゃんは
その意味を自分の体感でつかんでいるのだと思うのです。

2.シャドウイング
日本語以外の言葉は
聞いてわかるようになっても、
それを聞いているように話すことは
なかなかできません。

では自分の口からその言葉が出るには
どうしたらよいのでしょうか。

そこで私たちが取り組んでいるのが
シャドウイングです。

シャドウイングは、聞こえた音をその通りに
同時に口から出すことです。

どんな言葉にも、その言葉独自のメロディーとリズムがあります。

日本語には日本語の、スペイン語にはスペイン語の独特の
抑揚、発声、強弱、発音がありますが、
私たちはそれを全体としてのリズムとメロディーとして捉えます。

1音、いちおん区切って発音練習をしたりはしません。
その言葉らしさというのは、
まるで音楽のように、
全体の流れの中でこそ感じられるものですし
リエゾンとかトーンとか強弱ということがなければ
言葉としての意味をなしません。

単語の一個いっこをたとえ正しく発音できても
全体になったら、ブツブツに区切って言ったらおかしなことになりますよね。

ですから私たちは、どんな言語も
普段話されている自然な速さで、
人によって活舌の良し悪しも会ったりする言語を
聞こえたとおりに同時に口に出してみます。

(セルラスの多言語CDはナチュラルスピードで自然な話し方で吹き込まれています)

リピートのように、聞いて後から言ってみるのとは違い
聞こえた音を同時に口に出す。

そこに考えるいとまはありません。

聞こえたらそのまま口に出すのです。

すると何が起きるでしょう。

そうです、最初は全然ついていけません!

聞き取れないし、
口に出せないし、
声を出すとCDが聞こえないし、
聞こうとすると口が動きません!

そのくらい日本語以外の言語は
メロディーもリズムも、早さも、抑揚も
慣れ親しんだ日本語とは違うんです。

その違いを体感する。
そして考えないで口を動かし
声を出していくことで、
実は私たちの体が変化していくのです。

私たちは、日本語を聞いて話すことに、
ぴったりにチューニングされた耳と口を持っています。

それを、日本語と全然違うメロディとリズムの言語
全然違う音域やトーンの言語を聞いて口に出すことで
その言語も聞ける耳に、そしてその言語の音も出せる
口、舌、頬の筋肉に、
チューニングしていくのです。

ラジオの捉えられる周波数の音域が
前は日本語1局だったのが
複数の局が聞こえるようになる感じです。

これはまさに筋トレなんです。

どんな言語も、日本語らしく発音してしまう、いわゆる日本語訛りは
日本語の音しか出したことのない口が
その音を日本語らしく変えてしまうから起こります。

逆もそうで、日本語を英語訛りで話す人もいますよね。

耳もそうです。
普段日本語しか聞いていない耳で、
急に全然違う言語を聴こうとしても
私たちが普段聞いている以外の音は、
耳が自動的に切って聞いてしまうので
日本語の音の範囲しか聞き取れません。

違う言語を聞き取り、話すために必要なのは、
日本語との違いに慣れることなんです。

聞いた途端に、同時にその音を口から出すシャドウイングは、
その言語に慣れ、
それを聞ける耳と、話せる口を作るための
耳と口の筋トレなんです。

シャドウイングで身体が多言語化するんですね。

今回はこのシャドイウングに、
ただ聞いて口に出すだけでなく
もう一つ大きな体の動きを加えてもらいました。
それは次の記事で書こうと思います。

シャドウイングは単なる発音練習ではありません。

結果的に発音はよくなります。

けれどそれ以上のことが起こります。

聞こえる音域が増え、
とらえられるリズムやメロディーが広がることで、
何が起きるのか。

世界にある様々な言語を
そのまま受け止めることができるのです。

それは様々な文化、価値観、宗教、生活習慣などを
そのまま受け止める力をも育てます。

外国語が聞こえてきた途端に、
うるさい、わからないと
耳と心を閉ざす身体が
日本語以外の言語に耳を傾け、
何を言っているのかなと興味をもつ
そんな身体になるのです。

それはあらゆる違いに耳を傾け、
心を開き、
理解しようとする態度にもつながると
私は思っています。

ロールプレイとシャドウイングという二つの活動は
私たちの多言語習得活動の中でも
とても大事な活動です。

ですから今回のわずか1時間の体験会の中で
初めてセルラスの多言語活動に触れる方たちに
是非体験してほしいと思いました。

感想のご紹介と体験会のレポートは②に続きます。

NPO多言語広場CELULASはこちらのリンクです。
http://celulas.or.jp/

多言語活動については、こちらのページが詳しいです。
http://celulas.or.jp/?page_id=95

ABOUT ME
shigechan1783@gmail.com
NPO多言語広場CELULASのコーディネーターをしています。 セルラスではたくさんの言語(ことば)に同時に触れながら、世界中の誰とでもコミュニケーションできる力を育てています。 ことばはスキルでもツールでもなく、人と向き合い思いを伝え分かり合うために、人類が手に入れた尊い宝物です。 大人から子どもまで、多様な人たちが一緒に、ことばと人を育てあう場は、心とことばが同時に育つ場です。